4: ◆yufVJNsZ3s
2019/08/19(月) 22:24:01.98 ID:G6ax3z7W0
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人間は慣れる生き物だ。そうでなければ生きていくことはできない。
こんな激痛などには耐えられない。
「ん、っう、くぅうううっ、ぐ、お、ぅ……っ」
暗黒に一条の閃光が迸ったのと、体を雷撃のような激痛が走りまわったのは、完全に同一だった。私は空気を求めて喘ぎ、今度こそ清廉な空気が肺腑を満たすことに驚いて、次いで「今度」という自らの摩訶不思議な認識にまた驚く。
左腕が焼けるように痛かった。それだけでなく、骨から針が出て皮膚を突き破っているような錯覚すらある。右腕でおさえようとしたものの、その右腕の関節やら手首やらには、きっと画鋲がばら撒かれていた。
体を捻じ曲げる。幼児のように丸まることさえも許されず、私は恥も外聞もなく、痛みに泣いた。
がらり、ぴしゃんと扉が開く――そこで私は、ようやく、自らが部屋にいて、ベッドに寝かされていることに気が付いた。硬く濡れた岩礁とは異なる柔らかさと温かさ。
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