3: ◆yufVJNsZ3s
2019/08/19(月) 22:23:23.19 ID:G6ax3z7W0
「発見! 要救助者、はっけーん! 座標は今飛ばした、近ェのは……グラ子か!
大淀と合流してこっちゃ来いやぁ!」
潮騒に負けじと声が響き渡る。
「おい、名前! 自分の名前は、わかるか!」
「ぅ、あ」
声は、喉の振動は、空気の震えは、胸を満たす汚水に飲まれて消える。
「かなりやべぇな、クソがっ」
野太い男の声。苛立ちをぶつけるかのように荒げている。
仲間が救助に来てくれたのだと思ったけれど、どうやら違うらしかった。艦娘ではない。かといって提督の声はこんなに若くない。ならば海保? いや、規定で艦娘の保持は海軍に限定されているはずだから……。
あぁ、この際最早、誰何などは熱量の無駄だ。
ごぼり、ごぼり、体内が音を立てている。汚泥があぶくを立てている。
それらに負けじと私は叫んだ。
「みぃ、んな、をっ! たす、助け、てっ!」
私の、私の、みんな、私の、大事な。
仲間なんです。
ごぼごぼ、ごぼり。
どぼん。
あぁ……。
* * *
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