【艦これ】山城「不幸のままに、幸せに」
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2: ◆yufVJNsZ3s
2019/08/19(月) 22:22:53.22 ID:G6ax3z7W0

 敵性攻撃群の襲撃を受け、部隊は壊滅。仲間を庇いながら抗戦を続けるにも限りがあった。ついには落伍し、気づけばどこかの岩礁に乗り上げ、迫り来る自らの死と向き合うばかり。
 扶桑お姉さまは無事だろうか。満潮は。時雨は。加賀は。鈴谷は。
 爆炎と血飛沫は、即ち死とイコールではない。私たちは心が折れない限り何度でも立ち上がれるし、立ち上がってきた。そうあるべくしてあるのが艦娘なのだ。

 だからまだ心は折れない。体がたとえ端から腐れ落ちようとも。

 視界に引きずられて思考さえも霞がかっていくなか、せめてもの抵抗として、私は楽しかった時の記憶を思い出す。埃の被った小箱に入っていたものすらも。

 想起に耽る営みは、肺からの、気管支を経るごぼりという音で妨げられた。陸地だのに溺れる感覚。喘ぐように呼吸を急くが、ずんずんと意識が急速潜航。
 私は潜水艦じゃあない。

 黒い塊が意識の隅に陣取っていた。それを極力見ないようにして、光へと手を伸ばす。

 死にたくない。

 死にたくない。

 死にたくない。




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