16:名無しNIPPER[saga]
2019/08/19(月) 20:02:25.05 ID:NFiIwucU0
彼が部屋に入ると、私はいつも通り腕を組もうと彼の横に並ぶ。そっと彼の袖に触れた。
「あ……いや、そういうのじゃなくて」
そういうのじゃない、というのがどういうのじゃないのか分からないけれど、腕を組みたくはないらしい。
彼の希望を察して、私はそのまま並んで彼をソファに案内する。
「おかけになってお待ち下さい。あ、お飲み物はどうされます?」
お客さんにしては珍しく、彼はビールを求めた。アルコールが入ると感度が悪くなる、イキづらくなる、キスするときに酒臭いと申し訳ない。理由は人それぞれだけど、少数派であることは間違いない。
「はい、少々お待ち下さい」
応えて、冷蔵庫から一本ビールを出した。プルタブを開けて彼に差し出す。
「未成年じゃないの? 部屋にビールがあるなんて不良少女じゃん」
と彼は笑った。私の年齢十代としか公表していないはずなんだけど、顔つきか何かで察されたのだろうか。
そこには反応をしないように努めて、「どうぞ」と口をつけるように勧めた。
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