83: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:57:25.42 ID:OJA0wgUK0
☆
あの件以降も、私たちは定期的に集まってどこかに出掛けることが多くあった。
あの件というのは、私が今のプロデューサーのところに留まることを決めた件のことだ。
私たちはその流れ――暇な時間にどこかの駅で落ち合って、宛て所もなくぶらぶらしたり、思いついた場所に行ってみたりして、適当な時間に解散する流れ――を、打ち合わせと呼んでいた。
無論打ち合わせというのは名ばかりで、あくまで形式的な呼称だった。
どちらが初めて打ち合わせという言葉を使い始めたのかは覚えていない。
外聞が良いし、負い目を感じないので、私たちはその呼称を好んで用いていた。
打ち合わせは、多いときには週に二、三回のペースで行われていた。
彼は定時で帰れることが多かったし、この業界にしては珍しく完全週休二日制を手にしていたので、彼は積極的に私に付き合ってくれた。
六月に入っても、相変わらず打ち合わせは定期的に開催された。
雨がよく降るようになって、出来るだけ傘を差さずに済むような場所を選ぶようになった。
水族館に行ったのも確か六月だった。
その、六月の頭のことだった。
117Res/151.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20