65: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:46:08.77 ID:OJA0wgUK0
☆
「ところでさ、プロデューサー」
私の欲しかった材料はすべて揃った。後はそれらを手にして、プロデューサーから言葉を引き出すだけだった。
プロデューサーは何故、私が彼の担当に戻るという選択肢を選ぶことを前提として動いていたのか。
私がプロデューサーを選ぶという確信があったのか、それとも――他に別の理由があったのか。
「どうして、プロデューサーは、さっきあんなに焦ってたの」
「おかしいよね。ふたつ選択肢があったのに、片方を選ぶだけであんなに動揺して」
「まるで、私が必ずもう片方を選ぶと確信してたみたいに」
「ね、プロデューサー」
「杏は全部知ってるんだよ」
「聞いたんだ。今のプロデューサーから」
「私がプロデューサーの担当に戻る方を選ぶと思って、今の私のプロデューサーにそう伝えたんだってね」
私の言葉で彼は一転、しまった、という表情になって、苦々しそうに額の辺りを掻いた。
私は終始、彼に対して優位に立っていた。調子に乗りそうになるのを堪えて、私は冷静に、プロデューサーへの詰問を続ける。
私の得るべき情報は、外堀を埋めるという彼の行動の真意についてだ。
「プロデューサー」
「どうして、私がプロデューサーを選ぶと思ったの」
「それとも、何か別の理由があったわけ?」
「答えてよ」
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