9:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:03:15.01 ID:3RPf7FsGO
瑞穂を待つ間、一人で居間にいるのも何だか寂しくて、国営放送だけが映るテレビの電源を入れた。小難しいニュースが流れ始める。意味はあまり分からないが、とりあえずそのままにしてぼーっとしていると、居間の襖が開いた。
「良いお湯でした……凄い、ご馳走だ」
風呂からあがった瑞穂が、ラフな服装で入って来た。テーブルの上に並ぶものに目を丸くして驚いていると、母さんが台所から顔を出して「召し上がれ」と声をかけた。「ありがとうございます、いただきます」と礼儀正しく返し、座布団に座って手を合わせた。
「カズくんは? もう食べたの?」
「海に行く前に食べてたから」
やっぱり魚が多いの?
どちらかと言えば。でも俺は肉が好き。
育ち盛りの男の子だもんね。
海辺から戻ってくる前の沈黙が不思議なくらい、普通の会話が戻って来た。とりとめもないけど、当たり障りもない。
もう食べられないと言って瑞穂がお腹を撫でても、料理はまだ半分くらい残っていた。
「無理して食べなくて良いからね。どうせこの子の明日の昼ごはんになるんだから」
台所から戻って来た母さんがそう言うと、瑞穂も頷いて箸を置いた。
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