6:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 21:58:37.02 ID:3RPf7FsGO
ドキドキした気持ちであまり口が動かずに、彼女の問いかけにどうにか返事をするので精いっぱいだった。こんな時間に急にうちに泊まりに来て迷惑じゃないか、とか。島の全長とか、住民についてだとか。
つまらない男と思われないだろうか。島外の美女の彼女からすると、きっと俺は刺激も何もない、平凡な男に過ぎないのだろうけど。綺麗な女性に少しでも良く思われたいというのは、きっと誰もが頷いてくれる理論だ。
「尾関さんは、何で島に?」
絞り出せた言葉はそれだった。何のひねりもない。何て平凡な人間なんだろうと嫌になる。
「聞きたい?」
この島には何もない。観光地になるような自然文化も、伝承も、有名な人も。そりゃ、都会に比べたら自然は豊かだけれど、綺麗な景色が見たいと岸辺島に来る人なんてそうそういない。だからこそ、民宿も滅んだわけだ。
彼女の問いかけに首肯すると、ニヤッと笑いを浮かべてこう言った。
「身投げしに来たの」
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