いつかの月が君に微笑む
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3:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 21:54:22.80 ID:3RPf7FsGO
息も絶え絶えに走っているが、その幽霊も延々と後ろから「待ってって、ねえ!」と叫び追いかけてくる。どちらが先に諦めるかのレースになってしまった。

走っては少し振返り、走っては少し振返りをしていたところで、サンダルの鼻緒がちぎれてしまった。そして、そのままバランスを崩して砂浜に前のめりにこける。

「ちょっと、大丈夫?」
足音と叫び声が近くなった。ああ、俺もここまでか。父さん母さん、先立つ不孝をお許しください。

「ねえ、大丈夫?」

次はもう、叫び声ではなくなってしまっていた。確認するように話しかけ、幽霊は倒れこんだままの俺の前に回り込み、手を差し出した。

月を背にした彼女の顔がぼんやりと見えた。ああ、噂はやっぱり本当だった。

彼女は、とても綺麗な顔をしていた。初めて見る、絶世の美女だった。


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