23: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:41:50.76 ID:k2me14jR0
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メールで送信してもらった進行表を頭に叩き込み終わる。
今度はもらった音源を幾度も再生して、耳に馴染ませる作業に移った。自然にコーラスへと入ることができるように、ネット検索で表示した歌詞を穴が空くほど見入って、曲に合わせてぶつぶつと呟き続ける。
そんな最中、私のいるレッスンルームに電子音が鳴り響いた。
音の発生源は私が歌詞を見ているスマートフォンで、さっきまで再生していたはずの音楽は強制的に止められ、見ていた歌詞の画面は電話を発信してきている相手の名前、『プロデューサー』と大きく表示されているだけになっていた。
そこで我に返り、時計を見やる。
時刻はプロデューサーに伝えられていたステージの時間の二時間と少し前を示していた。
うわ、もうこんなに時間が経っていたのか。
焦りながらスマートフォンを操作して、電話を受ける。
「もしもし」
『俺だけど。どう? 行ける? もう下に車つけてるよ』
「わかった。すぐ行く」
短く電話を打ち切って、荷物をまとめる。
大丈夫。大丈夫。
やれることはやった。
自己暗示をかけつつ、待っているプロデューサーのもとへ急いだ。
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