62: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:13:28.71 ID:9YnfOZCp0
『君は俺の人生を変えてくれた。“君の”プロデューサーになりたいって、脇目も振らずに思ってる。……だから君は俺にとって、もう“アイドル”なんだよ』
あっけに取られている彼女に、俺は内ポケットから名刺入れを取り出した。中には数枚の無地の名刺。俺の名前と連絡先だけ書かれた、シンプルに過ぎるそれ。
その一枚を抜き出して、彼女の前に差し出す。
『……君がつまらないと思っている日々を変えられるかもしれない何か。それを“アイドル”にしてみませんか。俺にとっての“アイドル”がそうだったように。……そして』
じっと彼女を見た。黙ったまま見返してくるその瞳が、俺の差し出した名刺へと落ちる。
そして名刺を受け取った。ほっと胸を撫でおろして、俺は言う。
『すぐには答えられないかもしれない。けれど……もしその気があるなら電話をしてほしい。それか――』
ケータイを見た。よくわからない現地もののストラップが揺れる、蒼いケータイ。
88Res/88.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20