モバP「持たざる者と一人前」
1- 20
41: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:31:44.28 ID:p4U+w2zG0
「……あっ、携帯電話の人」

 彼女がそう言った。どくん、と心が跳ね上がる。良かった、記憶には残っていてくれた。そのことにどうしようもないほど嬉しさを感じつつも、客観的に考えれば驚くほど気持ち悪いと思うので表には出さず、

『そ、そうです、そうです。たまたまお見掛けして、それであの時のお礼を改めてって思って。本当に、ありがとうございました』

「そんな、気にしなくてもいいのに。誰だって届けますよ」

 嘘です。めちゃくちゃ探し回っていました。見つけられたのは本当にたまたまだったけれども。心の中で謝罪しつつ、こうして彼女と話せている現状がとてつもなく嬉しくて。

 だから思わず、

『ところで……アイドルに興味はないです?』

 そう訊いてしまった瞬間の、彼女の詐欺師を見るような目を……俺は二度と忘れないだろう。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
88Res/88.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice