嫉妬深い強欲デブでスケベで怒りに燃える怠け者の男「俺こそが唯一絶対の存在だ」
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13: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/07/29(月) 23:46:06.59 ID:8MZ+TPk10

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 その男は、ひどく傲慢であった。

 男は、三日三晩に及び続いた独演会を終え、ひとり仰向けになり空を眺めていた。

 真っ青な空には、大きな入道雲がぷかぷかと浮かんでいる。人間が滅んだというのに、男の頭上に広がる青空はその事をまるで気にもとめずに変わらぬ景色を見せてくれる。男は、人の世の儚さに少しだけ寂しさを覚えると同時に、かつて学び舎で習った平家物語を思い出していた。

 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛きものも遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

 あまり勉学は得意なほうではなかったが、なぜかこの冒頭だけはスラスラと思い出せる。この琵琶法師たちが歌い上げた物語は、その名の通り平家の栄華とその没落を描いたものだ。しかし、その書き出しは、真に世界が滅びた今にこそふさわしいと男は思うのであった。

 男の中に一つの邪悪な考えが浮かんだのは、そんな時であった。男は、いまこの世界で、唯一知性に溢れる生物は自分自身に他ならないということに気づいてしまったのだ。男は不遜な表情を浮かべ、その枯れた声で大きく笑った。俺より上には何者もいない、俺こそが唯一無二の人類そのものなのであると。


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