魔王「魔物使い、貴様はどのような世界を望む?」魔物使い「ほえ?」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2019/07/18(木) 23:28:45.09 ID:Yz/20wypO
「魔物使い、貴様はどのような世界を望む?」
「ほえ?」
あくる日も、あくる日も、魔王は牢へ赴いた。
取り留めもない会話をして彼と共に過ごした。
とはいえ、魔王には仕事がある。多忙なのま。
今日もまた人間の国のひとつを滅ぼしてきた。
阿鼻叫喚に包まれる破壊し尽くされた街並みを見ながら、ふと考える。その先の行く末を。
「ん〜……わりと、どうでもいいですねぇ」
「どうでもよいだと?」
「はい。僕は今、とても幸せなので」
魔物使いは今、幸せらしい。
では、魔王はどうだろう。幸せだろうか。
どれだけの人間を食らったところで、その底なしの胃袋から湧き上がる飢えや渇きは一向に収まることはなく、満たされることはない。
その無限の飢餓の源は、あの日、育ての親を喪ったことに対する憎しみと復讐に他ならない。
だが恐らく、最後の1匹を食らったとしても、この飢えと渇きは満たされることはないだろう。
では、何の為に。それから先はどうするのか。
世界征服を目前とした魔王には、わからない。
「魔王様、ひとつ聞いてもよろしいですか?」
「なんだ?」
「僕と一緒に居て楽しくありませんか?」
素直ではない魔王は、その問いにこう返した。
「貴様と共に過ごしていると、無性に腹が立ったり、疎ましく思ったり、我はイライラする」
「ならば、処分して下さい」
「なんだと……?」
処分という単語を耳にして、魔王は聞き捨てならないとばかりに、魔物使いを問いただした。
「どうしてそのようなことを口にする?」
「僕は、人間達に処分された身なので」
「国から追放されたのか?」
「どちらかと言えば、廃棄ですね」
人間は決まり事を定めて社会を形成している。
そしてそれが守れない者はゴミと化す。
故に、魔物使いは魔王の森へと捨てられた。
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