260: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:01:37.86 ID:6Fy41Xha0
――この様子は、おそらく間違いないだろう。
またね〜、と手を振るケイを背に、アンツィオのみんなの元へと戻る。
焦燥感に駆られながらも、その中からカルパッチョとペパロニの姿を見つけると、私は口早に話しかけた。
261: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:03:15.59 ID:6Fy41Xha0
ペパロニは何のことやらわからないという様子で片眉をあげる。
こいつはケイが現れた時にいなかったのだから無理もない。
カルパッチョを見ると、彼女の方は顎に手をやり、真剣な表情で思案に耽っていた。
262: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:05:18.91 ID:6Fy41Xha0
私とペパロニが突っ込みを入れると、こほんと一息ついてカルパッチョがまくしたてる。
「ループ脱出の条件は、正史を辿ることですよね」
「私たちは、そのためにループを体験させられてきました」
263: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:06:41.53 ID:6Fy41Xha0
「私たちの記憶が消えていないのは?」
「おそらく個人差があるんだと思います。私たちの記憶が消えるのも、時間の問題でしょう」
264: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:08:10.81 ID:6Fy41Xha0
――記憶が、消える。
孤独に大洗との試合を繰り返した記憶。
265: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:09:35.86 ID:6Fy41Xha0
――――。
――――。
――――。
266: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:10:59.55 ID:6Fy41Xha0
カルパッチョとペパロニへ向かって、まるで独り言のように、私はぽつぽつと言葉を吐き出した。
「まあ、仕方のないことだな」
「そもそもループ現象の方が異常だったんだ。癪ではあるが、これで普通の生活には戻れる」
267: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:12:45.16 ID:6Fy41Xha0
苦い顔を浮かべるペパロニの隣で、カルパッチョが「あのー」と手を挙げる。
「ループの間にあったことをメモに残しておくことはできると思いますが」
268: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:14:27.99 ID:6Fy41Xha0
戸惑うように言うカルパッチョに、私は笑う。
「ホントに、いいんだ。今度のは本心だぞ」
「まあ、お前らがやりたいなら、好きにすれば良い。私は止めはしないから」
269: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:16:49.91 ID:6Fy41Xha0
「この世界の正史を誰が決めているのかはわからないが、少なくとも連中は、アンツィオは二回戦で負けるものと思っているらしい」
「だからたぶん、今回の大会で我々は負けざるをえなかったんだ。そう決めつけられていたからな」
だが、しかし。
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