19:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:13:51.40 ID:zmX2O7Gg0
琴葉「……」
恵美「カタリーナ、そんなに深刻な顔しないで。マリーナたちだっていつも言ってくれてるじゃないか。君には笑顔が一番似合うって」
琴葉「メルセデス……。だけど私、今の状態で本当に女王に即位していいのかな」
20:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:14:23.96 ID:zmX2O7Gg0
育「へえ。これが国王陛下の小さいころの写真なんだね」
環「うん。このお屋敷は、お父様が小さいころにこの辺りの森で虫取りをするときに使ってたんだって」
育「そうなんだ。陛下も虫や自然が大好きなんだね。それであんなに日焼けを…」
21:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:14:54.14 ID:zmX2O7Gg0
スタッ
美也「イグナスさん、離れてください」
育「ミランダさん、ターニャはどうしちゃったの――あ」
22:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:15:29.96 ID:zmX2O7Gg0
それは、今から1800年ほど前のこと――。
この大地は、魔界からやってきた魔物の毒で汚されていた。人々は病に苦しみ、争いも絶えなかった。
混迷の中、事の発端である魔物を退けようと一人の若者が立ち上がった。
23:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:16:02.11 ID:zmX2O7Gg0
しかしそれから500年後のこと。王家に双子の王子が生まれた。
このうち兄である第一王子は、満月の夜に狼に変化し、暴走してしまうのだった。家臣たちは初代女王の先祖返りだと恐れた。
息子を憐れんだ王はこの情報を秘匿し、第一王子の人生に影響しないよう努めた。
24:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:16:34.44 ID:zmX2O7Gg0
育「先祖返り……そんな、王家に悲劇をもたらすって……」
美也「はい。ターニャ様は800年ぶりに生まれた、記録上3人目の先祖返りの王族なんです」
育「それじゃあターニャが病気で療養してるっていうのも――」
25:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:03.11 ID:zmX2O7Gg0
環「ガルルル……アオォォーーーン!!」
美也「鎮まりください、姫様……」スッ
バリバリバリッ
26:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:32.48 ID:zmX2O7Gg0
育「ぼくにまかせてください。必ず、ターニャを落ち着かせてみせます」
美也「イグナスさん、しかし――」
育「おねがいします! ぼくもターニャのために、できることをしたいんです」
27:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:59.83 ID:zmX2O7Gg0
育「いたっ! ぐっ……このくらい平気だよ。どんな姿でも、ターニャはターニャだ。君がぼくを食べるなんて、そんなことあるもんか」
環「グゥゥゥ!!」
育「初めて君と見つめ合ったとき、夕焼けみたいにきれいな目だと思った……今だってそうだよ。今夜初めて月の光に照らされる君の目を見てる。きれいだよ、ターニャ」
28:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:18:28.62 ID:zmX2O7Gg0
環「ん……もう、朝……。わっ!」
育「……」スヤスヤ
環「イグナス、なんでここに――って、うわああどうしよう! まだ月が沈んでないぞ!」
29:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:18:58.72 ID:zmX2O7Gg0
環「……待って、イグナス」
モフッ
環「イグナスはターニャのことを考えてくれてたんだよね。ターニャを、ひとりぼっちにさせたくなかったんだよね」
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