32: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:01:42.08 ID:v/g2u2sn0
「美奈子ちゃんおめでとう!」
「みなちゃん、応援するよ!」
33: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:03:10.31 ID:v/g2u2sn0
なんだ、結局僕は何もわかってなかったんじゃないか。馬鹿だ、とんだ大馬鹿者だ。
なにが佐竹さんと親しくなれているだ。
僕たちはあくまでも同級生で、佐竹飯店に通う常連客と看板娘で、それ以上でもそれ以下でもないじゃないか。
34: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:03:36.32 ID:v/g2u2sn0
「おめでとう!」
でも、だから僕は祝う。佐竹さんの夢がかなったことを。
同級生として、佐竹飯店の常連客として、佐竹飯店のアイドルのファンだった一人として。
35: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:04:02.31 ID:v/g2u2sn0
「いいのか坊主?」
隣にいた八百屋のおじさんが僕のことを気遣ってか聞いてくる。いつになく真剣な顔だった。
なにについてかは聞かなくてもわかる。
36: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:04:39.18 ID:v/g2u2sn0
☆★☆★☆★☆★
37: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:05:36.30 ID:v/g2u2sn0
アイドルになった佐竹さんを僕たちは変わらず応援している。ほかの常連客も一緒だ。
みんなで集まって店で佐竹さんが出る番組を見ることもあった。近所の人なんかはこぞって店に来るからさながら大応援団のようだった。
当然、店に出ている佐竹さんはみんなからかわいいだのなんだのと口々に言われるから顔を真っ赤にすることになる。
38: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:06:05.94 ID:v/g2u2sn0
夜六時半、今日も僕は佐竹飯店にいた。
例のごとく佐竹さんが出演する番組があるのでみんなで見ようとのことだった。
店内は近所の人たちや、近くの工事現場で働いてる人たちといった常連客でいっぱいだった。
39: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:06:31.93 ID:v/g2u2sn0
「よう坊主。元気か?」
隣に座っていたのは八百屋のおじさんだった。相変わらず元気そうだ。
40: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:07:06.91 ID:v/g2u2sn0
番組が始まった。
店内のあちらこちらで歓声が上がる。それを見て佐竹さんは恥ずかしそうにしていた。
まあ、僕の初恋は実らなかったわけだけれど、今はこれでよかったんじゃないかなと思っている。
41: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:07:33.05 ID:v/g2u2sn0
さて、僕の恥ずかしい、だけど大切な経験だった青春の一ページの話はこんなものだけどどうだっただろうか。ま、いつかやる同窓会の席での肴にでもなればいいかな。
よし、佐竹さんの番組も始まったことだしちょうど区切りのいいところで終わりにしようか。といってもこれ以上何か続きがあるわけでもないけどね。
僕はレンゲで山盛りのチャーハンを削り取った。
42: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 04:07:59.03 ID:v/g2u2sn0
おしまい
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