8:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:59:21.46 ID:2+eK45Jl0
「なんだそれ、うける」
僕の返答に佐々木は笑っていたが、
柏木さんの顔は強張ったままだった。
9:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:02:32.14 ID:qOvrccx90
蒼井明衣は、学内でも有名な女の子だった。
おそらく、良い意味でも悪い意味でも。
彼女は、人よりも際立って目立つ容姿を兼ね備えていた。
10:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:03:53.81 ID:qOvrccx90
彼女が包帯を巻いて登校するようになったのは、
たしか、梅雨入りのころはずだ。
実を言えば、僕は彼女と通学時間が重なっており、
11:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:05:11.14 ID:qOvrccx90
今では、彼女は「高嶺の華」という扱いを受けている。
最も、それは薔薇のようなものなのかもしれないけれど。
12:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:06:00.15 ID:qOvrccx90
「まあ、どうでもいいことだな」
僕は、裏庭のベンチに深く腰掛けた。
ここは日が当たることもほとんどないので、
13:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:07:11.88 ID:qOvrccx90
「いいか、小林。コミュニケーション能力ってのは、
社会に出るためには、確実に必要になるスキルのひとつなんだ。
つまりは、僕はそういうのが欠落してんだろうな。
14:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:07:37.82 ID:qOvrccx90
「さて、今日もお前に飯をやろう。いいか、よーく見ておけよ」
小林の好物は、丸々太った金魚だ。
そいつらは、裏庭のため池の中で悠々と泳いでいる。
15:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:08:20.48 ID:qOvrccx90
すると、小石はその場から消え失せ、
代わりにびちびちと、地面で跳ね回る金魚がそこに姿を現した。
僕はしたり顔で小林の頭を撫でた。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:08:53.78 ID:qOvrccx90
裏庭に人がやってくることは滅多にない。
それは、このため池も関係していた。
不自然に建てられた歪つなフェンス。
17:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:10:37.10 ID:qOvrccx90
そういうわけで、僕は完全に油断をしていた。
そう。ここに人が立ち寄るなんて、滅多にないことなのだから。
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