44: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:50:13.66 ID:tLeGcQVf0
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45: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:50:45.64 ID:tLeGcQVf0
あたしがさ、昔病弱だって言った話、知ってるでしょ? 一番ひどい時なんてさ、病院でずっと入院してたんだよね。
入院が長引くとさ、お金の関係で個別ベッドに入るのなんか難しくなるんだよね。そうすると大部屋に何個かベッドが並んである部屋で入院することになるの。
あたしが入院してたのは六人部屋だったかな? 言い方悪いけど、結構繁盛してて、ベッドはいつも満杯だったんだよ。
46: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:51:30.77 ID:tLeGcQVf0
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私とその子の関係? 別に特殊なもんでもなかったよ。
元から知り合いだったわけでもないし、「実は血が繋がってた」とか「前世で恋人だった」とか、そんな衝撃的な事実も決してなかった。
47: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:52:11.50 ID:tLeGcQVf0
「ねぇ、あなたさ、ここに来て結構長いよね?」
48: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:52:55.74 ID:tLeGcQVf0
最初は一体何かと思った。というか誰が誰に向けて発せられた言葉かすら認識できなかった。
「あれ? いないの? そんなわけないよね。点滴あるし」
49: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:54:08.46 ID:tLeGcQVf0
その日から私とあの子は、周りの入院患者へ迷惑をかけない時間帯に二人でぺちゃくちゃたくさんおしゃべりした。
採血のための注射が痛いだとか。
毎日飲む薬が多すぎるだとか。
親が土産で持ってくるものがローテーション化してきてつまらないだとか。
50: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:55:37.21 ID:tLeGcQVf0
そして季節が一つ変わり、二つ変わり、『ずっとこんな生活が続くのかな?』という不安と一種の諦めと落ち着きを持ち始めた時だった。
「あたしね、今度手術するんだって! なんか凄い手術らしい? けど心配しないでって看護師さんが言ってた!」
51: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:56:07.72 ID:tLeGcQVf0
「そうだ! 看護師さんにそうお願いしよう! 手術前に『なにか叶えてほしいことある?』って聞かれたから、特にないよって答えたけど、ここのベッドに戻れるようにお願いしよう!」
そう明るい声で話すあの子の話を、私はうんうん頷きながら聞いてた。
これはなんとなく私の想像にすぎないんだけど……。そしてきっと周りの人達は本人には伝えてないだろうけど……。
52: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:56:55.59 ID:tLeGcQVf0
『あの子の手術がうまくいきますように……!』
53: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:58:13.38 ID:tLeGcQVf0
一晩中祈ってたせいで、その日は全然眠れず、翌日に看護師と両親に心配されながら怒られた記憶がある。
ただそれくらい真剣にあの子の手術成功を祈ったあの日。
でも、あの子が帰ってくることはなかった。
54: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:59:01.90 ID:tLeGcQVf0
『カミサマなんてこの世に存在しない』
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