53: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:58:13.38 ID:tLeGcQVf0
一晩中祈ってたせいで、その日は全然眠れず、翌日に看護師と両親に心配されながら怒られた記憶がある。
ただそれくらい真剣にあの子の手術成功を祈ったあの日。
でも、あの子が帰ってくることはなかった。
一日経って二日経って。
あの子がいたベッドが綺麗にされて。
いつもあの子がいたベッドが空きベッドとなる日が暫く続いて。
一度あの子の両親が咽び泣きながらあたしに挨拶してきて。
そして次の患者があの子のベッドを使うようになって。
そこであたしは察したんだ。
『あぁ……あの子は救われなかったんだ……。カミサマはあの子を救ってくれなかったんだ……』って。
その時からかな? カミサマを信じられなくなったのは?
皮肉なことにその日からあたしの体調はドンドン回復していって、無事退院できることになった。
暫くは通院しながらつまらない学生生活を送って。
それで通院が必要なくなった頃にプロデューサーさんにスカウトされて。
スカウトされてからの話は別にいいよね? 話さなくてもよく知ってるだろうし。そうして昔からの夢だったアイドルやって、毎日楽しい日々を過ごすくらい元気になって、今に至るって感じかな。
でもね、あたし元気になった今でも思うことがあるんだ。
『カミサマはあたしをこんなに元気にしてくれたのに、なんであの子を救ってくれなかったのかな?』
『どうしてカミサマは越えられない試練をあの子に課したのかな?』
『どうしてあの子と一緒に元気になって退院できなかったんだろう』
『───どうして私じゃなくて、あの子が死んじゃったんだろう』
そんな風にね、思うことがあるんだ。
でもこれってよく考えたら、ある発想に至ったら解決されるんだよね。
根本的に間違ってる思想を、正しく認識すれば解決されちゃうんだ。
つまりはね、こう思うことにしたんだ。
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