29: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:38:10.18 ID:RAUxaTtJ0
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「……ー。……ミリー。エミリー?」
「は、はい!」
仕掛け人さまに声をかけられていると気づいた途端我に返る。不安そうに顔をのぞき込まれていることに気づき慌てて顔を逸らした。
「なんかボーっとしてたみたいだけど大丈夫か?」
「も、申し訳ありません……」
少し過去のことを思い返していたらしい。先に質問を見ておけてよかった。本番でこんな風になってしまっては迷惑になるだけだった
「なんか変なこと書いてあった?」
「いえ、そういうのではなくて……。少し、昔のことを思いだしていました」
つい最近のような遠い昔のことのような想い出だ。忘れていたわけではないけれど頻繁に思いだしていたわけでもないから、なんだか懐かしいような感覚に落ちていた。
「そういえば……、エミリーの昔話ってあんまり聞いたことないかも」
「言われてみればそうですね……。ですがお聞かせできるようなものでもありませんよ?」
「恥ずかしい?」
仕掛け人さまがそう尋ねる。少し不安そうな目をしていた。
だけど、私はもうそんなに弱くない。
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