16: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:22:08.10 ID:RAUxaTtJ0
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その日から私は人が変わったように日本のことばかりを調べるようになった。父が日本を好きということもあって一歩を踏み込むのは容易かった。
初めは語学からだった。
ひらがなとカタカナから始めて徐々に漢字も覚えていく。漢字の成り立ちを調べていると面白くて夜更かししてしまうこともしばしば。知らない言葉とその意味が自分のものになっていくことが面白くて楽しかった。
「Da……、お父さん。今日は学校に、……学校で、お友たちと日本のお花のこと、お話しした……のですよ!」
『おお、すごい。随分上手になったじゃないか』
「けど、お父さんみたいな……、上手でないから。もっと頑張りないと……!」
語学の定着は日常生活から、ということで家では練習のように日本語ばかり話すようになった。父は仕事の関係で日本語が達者だったため指導もしてもらいながらひとつひとつ着実に日本語を自分の中へ染みこませていった。
そうしていく中でNihonは日本に、Nihongaは日本画になってToukiは陶器になり、Kimonoは着物になった。
憧れのヤマトナデシコは「大和撫子」と書くのだと知った。
大和とは日本の昔の呼び名で、撫子とはその日本に昔から咲いている花の名前。
子供のように撫でたくなるほどかわいいから撫子。
だけど見た目にそぐわず強くてたくましい。そのおかげでずっと日本と共にあった花。
大和撫子がそうであるように。この花のように。私もいつか咲きますように。
そんな想いを込めて、撫子の花の鉢植えを部屋に飾った。
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