【ミリマス】私という撫子の
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14: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:19:44.49 ID:RAUxaTtJ0
『あら、エミリー。ヤマトナデシコっていうのはね……』
『なれるよ。エミリーなら』

 お母さんの言葉を遮ってお父さんが私の頭を撫でる。その手はあたたかくて優しくて、いつか本当になれる気がした。

『本当!? お父さん!』
『あぁ、本当だ。』
『……そうね。きっとなれるわね』
『なりたい、私! ヤマトナデシコになる!』

 その後しばらくずっとヤマトナデシコヤマトナデシコと口にしながら部屋を歩いていると、お父さんがせっかく一緒に来たんだからKimonoを買ってあげようかと声をかけた。

『いいの!?』
 
 Kimonoを着れば私だってヤマトナデシコになれるのではないか。さっきの人のような、素敵な女性に。
 
『ヤマトナデシコへの第一歩、ってことで。いいよな、母さん』
『うーん……。その分お仕事頑張ってくださいね?』

 お母さんは少し迷ったようだったけれどお父さんと私の表情を見て折れたのか一つ溜息をついた。

『エミリーと母さんのためならいくらでも頑張るよ』
 
 そのまま売り場に連れていってもらう。どの色がいい?と聞かれたのであの人が着ていたような赤色がいいと言うとちょっとエミリーには渋すぎるんじゃないかなと笑われた。結局買ってもらったのは真っ赤な生地に菊や牡丹の花がかわいくあしらわれた子供用のものだった。
 その場で着付けをしてもらって鏡に映った自分を見てみる。



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