【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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70: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 22:45:48.31 ID:BLRBsoCc0

「これが、夜市です」

 ここは異境か?
 これは現実か?

 夜市はかなり賑やかだった。参道は人でごった返し、月夜の下でカラフルな提灯が揺れる。
 万華鏡に放り込まれたような気がして目がくらんだ。

 高垣さんは一歩先んじて、いたずらっぽく忠告した。

「離れないでくださいね。慣れてないうちに迷子になると、二度と出られないかもしれませんから」

 ここがどんな場所であれ、その忠告にはかなりの説得力があるように思えた。
 俺は慌てて彼女の背を追い、人の流れに飛び込む。




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