【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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63: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:51:54.39 ID:VqG4l+2oo

「……ふ、ふふふ。かつてかくれんぼマスターと名を馳せた私に勝負をしかけるなんて、いい度胸ね……。」

野山を駆け回る、というほどではないが、周囲の同年代がそうであったように、小さい頃のこのみは活発に遊ぶ方であった。
走ることは嫌いではなかったが、今と同じで運動神経が特段秀でてたりしているわけではなかったこのみは、
以下略 AAS



64: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:52:20.68 ID:VqG4l+2oo

このみは、そんな昔のことを思い出しつつ、持ち主を失った段ボール箱を先に倉庫へと運んでいた。
階段の横にある劇場の倉庫には、ステージの大道具や各種音響機材、ケーブル類をはじめとして、
過去の公演のグッズやポスター類、また劇場の控室等の消耗品など、あらゆるものが収められている。
衣装やアクセサリ以外のものは大体なんでもここにある、と言ってしまえばその混沌ぶりがわかるだろうか。
以下略 AAS



65: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:52:46.90 ID:VqG4l+2oo

このみは倉庫の扉を開けたが、案の定いつもと変わらずごちゃっとした印象を受けた。
あまり奥に置いておくと何処にあるか分からなくなりそうだったので、
入ってすぐ近くの床の端に段ボール箱を置いておくことにした。

以下略 AAS



66: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/08(火) 01:37:39.55 ID:fNCrqDvgo

……のであるが。

「……ぜんっぜん居ないわね……。」

以下略 AAS



67: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/08(火) 01:38:18.97 ID:fNCrqDvgo

しかしその道中の、ある扉の前でこのみの足が止まった。
他のそれと明らかに異なり、その観音開きの扉は無骨で金属的な灰色をしていて、
全て扉を開ければ小さなトラックくらいなら入ってしまいそうなほどの大きさがある。

以下略 AAS



68: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/08(火) 01:39:44.03 ID:fNCrqDvgo

舞台袖は普段薄暗くて、人が隠れられるほどのものがたくさんある。
たしかに隠れるとしたら絶好の場所ではあるのだろう。
万が一隠れている子がいたら、その時はきっちり言ってあげないと。
少なくとも確認だけは一応しておかないといけないだろう。
以下略 AAS



69: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:12:39.47 ID:eH8hmcZZo

ステージ上手側の舞台袖は、ステージセットの搬入が行われる関係もあって、大道具が数多く置かれていた。
このみは、誰か陰に隠れてたりはしないか、と大道具を一つ一つ見て回ることにした。

劇場では、以前の公演のステージセットの一部を、新しい公演で使うことがしばしばある。
以下略 AAS



70: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:13:57.94 ID:eH8hmcZZo

結局、上手側にも、下手側にも、舞台袖に誰かが隠れているようなことはなかった。
このみは息を撫で下ろしたが、それならば本当に何処に隠れているんだろう、と謎が深まるばかりだった。
やはり一旦出直して一から探し直そうと、もとの扉へ向かったこのみであったが、
もう一度辺りを見回して、そこであるものに目が止まった。
以下略 AAS



71: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:15:36.08 ID:eH8hmcZZo

ずっと以前にもこうしてステージライトを見上げたことがあった。
765プロへとやってきて、本当にすぐの頃。

アイドルをやっていける自信がなくて、いっそ断ってしまおうかと考えたこともあった。
以下略 AAS



72: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:16:33.20 ID:eH8hmcZZo

それから、まるで走馬灯のようにいままでの出来事が思い起こされていった。
このみは左手に添えようとした右手が、持っていた資料の束にあたり、かさりと音を立てるのを聞いた。


73: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:17:32.92 ID:eH8hmcZZo

私が初めて公演のステージで歌うことが決まったとき、実のところ怖さの方が大きかった。
夢や憧れだけで願いは叶わないなんてことは、昔からよく知っているつもりだったし、
この世界へと飛び込んだ選択が正しかったのかなんて、いくら考えても分かりそうになかった。
ただ、一度後ろを振り向いてしまったら、何かに肩を掴まれて、そのまま引き摺り込まれてしまいそうな気がした。
以下略 AAS



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