70: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:13:57.94 ID:eH8hmcZZo
結局、上手側にも、下手側にも、舞台袖に誰かが隠れているようなことはなかった。
このみは息を撫で下ろしたが、それならば本当に何処に隠れているんだろう、と謎が深まるばかりだった。
やはり一旦出直して一から探し直そうと、もとの扉へ向かったこのみであったが、
もう一度辺りを見回して、そこであるものに目が止まった。
それは、ステージライトであった。
劇場の舞台とそこに立つアイドルを照らすべく、直上に据え付けられたステージライトたちを、このみは見上げていた。
アイドルとして舞台に立つ以上、じりじりと身を焼くほどの光を背中で受けることはあっても、
明かりのついてない状態の照明をまじまじと見ることは存外少ないものであった。
「なんだか、あの時を思い出すわね……。」
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