66: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/08(火) 01:37:39.55 ID:fNCrqDvgo
……のであるが。
「……ぜんっぜん居ないわね……。」
3分で全員見つけるくらいのつもりでいたが、誰も見つからないままかれこれ数十分はたってしまっただろうか。
十余年の歳月がこのみのかくれんぼマスターとしての感覚を鈍らせてしまったのかもしれない。
数百年以上もの間常に研ぎ澄ませ続けられてきた将棋や囲碁のような世界でも、
新しい手法が常に考えられ続けており、それは時に過去のそれを凌駕することもある。
このみが「子どもの遊び」から離れている間にも、そのかくれんぼ技術が過去の遺物になっていたとしたら──。
「……なんて、ね。」
いや、案外亜美ちゃんや真美ちゃんならあり得なくもないのかも、とこのみは恐怖するが、その頬はどこか緩んでいた。
ともあれ、最近の子どものパワーを改めて実感している間に、このみは目ぼしい箇所は粗方探し終えてしまった。
ここまで見つからないと、かくれんぼというよりもむしろ捜索をしているような気さえ感じていた。
この調子が続くなら、手に抱えたままの資料を一旦鞄に置いてきた方が賢明だろう、と判断したこのみは、一旦事務室へ引き返す事にした。
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