54: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:41:35.32 ID:VqG4l+2oo
片付ける、と言ってもペットボトルとボールだけで、そんなに物が散らかっているわけでもない。
「あら、環ちゃん。一回で全部持ってきてくれたの。」
「くふふ、これくらいへっちゃらだぞ!」
55: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:42:28.20 ID:VqG4l+2oo
「遊ぶなら、あまり騒がしくしないで、危なくないようにね。」
「むむ……騒がしくなくて……。」
56: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:43:04.79 ID:VqG4l+2oo
「ど、どうしたの、二人とも……。」
「……このみん君。真美たちは気づいてしまったのだよ……。たった一つの真実に……!」
57: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:44:57.65 ID:VqG4l+2oo
作戦会議が終わったところで、たくらみ顔をした真美がこのみのもとへぴょんぴょんと飛んできた。
「……このみん、ちょっと目をつむって?」
「目を?別にいいけど……。」
58: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:46:14.58 ID:VqG4l+2oo
「手はこうして、こうだぞ!」
手の大きさからも、自身の手をつかんだのは環だとすぐにわかった。
59: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:46:46.03 ID:VqG4l+2oo
自分の見ていない間にいったい何をしでかすつもりなのだろう。
例えばあれやこれだろうか、と想像していたこのみであったが、続く亜美からの指示は意外なものだった。
「そこから、数を数えてくの。いーち、にーい、さーん、って!」
60: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:47:12.67 ID:VqG4l+2oo
このみがカウントを始めたところで、4人分の足音が左右へ遠ざかっていくのが聞こえてきた。
遠ざかっていく、というよりは小走りで、それも逃げているような……?
そこでようやくこのみは疑問の答えを見つけた。
61: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:48:15.47 ID:VqG4l+2oo
……いつの間にやらこのみはかくれんぼの鬼になっていたらしい。
遊びに付き合う、と言った覚えはなかったのだが、
このみのツッコミには目もくれずに、全員すぐ見えなくなってしまった。
この場合の言葉は、ちょっと待って、という意味であり、
62: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:48:50.00 ID:VqG4l+2oo
曲がりなりにも鬼に任命されてしまった以上、何も聞かなかったことにはできないだろう。
壁に目を伏せていたこのみは、きちんと心の中で3分数えてから、体を起こしゆっくりと目を開けた。
実は4人とも忍び足で戻ってきていて、自身を驚かせるためにスタンバイしていたりするかもしれない、
と思ったこのみは少しばかり心の準備をしていたのだが、空振りだったようだ。
63: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:51:54.39 ID:VqG4l+2oo
「……ふ、ふふふ。かつてかくれんぼマスターと名を馳せた私に勝負をしかけるなんて、いい度胸ね……。」
野山を駆け回る、というほどではないが、周囲の同年代がそうであったように、小さい頃のこのみは活発に遊ぶ方であった。
走ることは嫌いではなかったが、今と同じで運動神経が特段秀でてたりしているわけではなかったこのみは、
64: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/09/15(日) 22:52:20.68 ID:VqG4l+2oo
このみは、そんな昔のことを思い出しつつ、持ち主を失った段ボール箱を先に倉庫へと運んでいた。
階段の横にある劇場の倉庫には、ステージの大道具や各種音響機材、ケーブル類をはじめとして、
過去の公演のグッズやポスター類、また劇場の控室等の消耗品など、あらゆるものが収められている。
衣装やアクセサリ以外のものは大体なんでもここにある、と言ってしまえばその混沌ぶりがわかるだろうか。
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