【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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237: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:52:57.93 ID:E/BVepxA0

舞台袖は、劇場のアイドルたちや、公演を支えてくれるスタッフたちで一杯だった。
アイドルたちは、何人かで集まって自撮りしていたりする子たちもいれば、進行表をチェックしに来た子や、次の出番に向けてダンスのステップを確認している子もいて、様々だった。
このみがなんとなしに辺りを見回すと、スーツを着たプロデューサーと目が合った。

以下略 AAS



238: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:53:24.17 ID:E/BVepxA0

このみの着ている衣装は、しんしんと野に降り積もる雪のような、まっさらな白を基調とした和服だった。
袖には白地に赤と黒の模様があつらわれていて、それは白い翼を携えて雪の上で佇む鶴を思わせた。
胸の帯には、椿の花が凛と咲いていた。
衣装の名前は、『鶴翼紅華衣』。
以下略 AAS



239: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:53:50.54 ID:E/BVepxA0

この公演は、「最後の公演は、舞台の演劇とリンクさせるようなものにしたい」というこのみ自身の希望からだった。
しかし、公演が実現できたのは、舞台の制作側の好意によるところも大きかった。
舞台の脚本・演出との綿密な擦り合わせをした上で、舞台の制作チームの要求する水準を担保する、という条件の下で、ようやく公演の許可が下りたのであった。

以下略 AAS



240: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:54:16.82 ID:E/BVepxA0

この衣装は、このみのアイドルとしてのステージを通して舞台の世界観を表現するために作られた、特別なものだ。
舞台本番の衣装とは異なるものの、舞台の制作チームからデザイン等の監修を受け、アイドル衣装として製作されている。
そのため、ダンスなどで身体を動かしても、動きが制限されることのないようになっていた。
このみは試しに軽く動いてみるが、特段どこか動きにくさを感じることもなく、むしろ心地よいくらいだった。
以下略 AAS



241: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:54:42.81 ID:E/BVepxA0

衣装をひらひらと揺らすように、このみは小さくステップを踏んだ。
その足取りはかろやかで、動くたびに羽が舞うようだった。

「調子の方も、なんだか良さそうですね。」
以下略 AAS



242: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:55:25.87 ID:E/BVepxA0

「……でも、今だって緊張してない訳じゃないのよ?」

このみは、身長差をもどかしく感じながら、意味ありげに見えるよう、そう言って微笑んだ。

以下略 AAS



243: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:55:52.15 ID:E/BVepxA0

このみは、幕の隙間からステージの様子をちらりと見た。
劇場の仲間たちが堂々と歌を歌う様子を見て、胸の奥が逸るように音を立てた。
胸に手を当てて、このみはゆっくりと息をした。

以下略 AAS



244: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:17:27.70 ID:Bg3Eqo0s0

それから、二人は資料で本番のステージでの動きや立ち位置を確認していた。
二人が長い時間をかけて準備をしてきた、このみの大事なステージが、少しずつ近づいていた。

「もうそろそろ時間ね。……プロデューサー、行ってくるわね。」
以下略 AAS



245: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:17:56.44 ID:Bg3Eqo0s0

手を伸ばして自分の資料を持った後、彼に「また後でね」と目で合図した。
彼が静かに返事をするのを見てから、このみは先ほどの扉の方へ歩き出した。

「……あ、そうそう。」
以下略 AAS



246: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:18:37.43 ID:Bg3Eqo0s0


「プロデューサーさん。」

彼に声をかけたのは、徳川まつりだった。
以下略 AAS



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