【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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241: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:54:42.81 ID:E/BVepxA0

衣装をひらひらと揺らすように、このみは小さくステップを踏んだ。
その足取りはかろやかで、動くたびに羽が舞うようだった。

「調子の方も、なんだか良さそうですね。」

「ええ。今日は晴れ舞台だもの。なんだか、いつもより体が軽いみたいよ。」

「それならよかったです。緊張して身体が全然動かない、ってなってたら大変でしたからね。」

彼は冗談めかすように、大げさに言ってみせた。
そんな彼を見て、このみはふと、自分がアイドルを始めたばかりの頃のことを思い出した。
ステージの前はいつだって不安で、どうすればいいのか分からなることだって少なくなかった。
でも、そんな時だって、プロデューサーはずっと一緒に居てくれた。
だからこそ、彼と今こうしてその頃のことを笑い話に出来ることが、ちょっぴり嬉しかった。
嬉しくて──少しだけ、それが寂しくもあった。
だからたまに、その気持ちに、気づいてほしくなる。


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