245: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:17:56.44 ID:Bg3Eqo0s0
手を伸ばして自分の資料を持った後、彼に「また後でね」と目で合図した。
彼が静かに返事をするのを見てから、このみは先ほどの扉の方へ歩き出した。
「……あ、そうそう。」
このみは数歩だけ歩いたところで立ち止まった。
それから、このみは後ろに手を回したまま体全体で振り返って、彼を見た。
このみの衣装の、鶴の尾を模した飾り布が、ふわりと舞った。
「プロデューサー。私のステージ、ここからちゃんと見ててね。」
このみはそう言って、小さくはにかんだ。
「ええ。もちろんです。目を離したりしませんよ。」
「ウフフ。よろしくね。」
それから、このみは駆け出していく。
彼女が扉をくぐるまでずっと、彼はその後ろ姿を見守っていた。
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