【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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174: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/04/10(金) 01:19:33.28 ID:VqwG9xH+0

「私一人いなくなったって、何か問題が起きるわけじゃない。ううん、最近のみんな、すごく頑張ってるもの。だから……。」

幾重に広がる光たちの上で、劇場の仲間たちが舞い踊る。
願いは歌になって、ステージからファンのみんなへと飛び立って。
以下略 AAS



175: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/04/10(金) 01:20:47.77 ID:VqwG9xH+0

ステージは完璧だった。
たった一つ、その世界に、馬場このみがいないことを除いては。

そのまま手放せてしまったのなら、どれほど楽なのだろうか。
以下略 AAS



176: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:45:50.32 ID:9DhA16vx0

伸ばした手に、何かが触れた。
このみがはっとして意識を戻すと、そこは劇場の事務室だった。

左手の感覚は、思い違いではなかった。
以下略 AAS



177: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:46:25.80 ID:9DhA16vx0

「このみさん。」

彼は、手を握ったままこのみを見つめて、一言、そう言った。
このみは、ただそれだけで、冷えきった左手が暖かくなるのを感じた。
以下略 AAS



178: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:54:39.64 ID:9DhA16vx0

自分の居なくなった世界が、それまでと同じように、淀みなく回り続けるのが嫌だ。

それは嫉妬にも独占欲にも似た感情だった。
自身の中にこんな下卑た気持ちがあったのかと、このみは心底思わされた。
以下略 AAS



179: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:56:54.25 ID:9DhA16vx0

もう一度だけ、手がぎゅっと強く握られた。
このみがそれに気がついて目を向けようとしたとき、また顔が下を向いてしまっていたのだと自覚した。
このみが顔を上げると、彼と目が合った。

以下略 AAS



180: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:57:44.26 ID:9DhA16vx0

彼は小さく深呼吸してから、このみの目をじっと見つめたままで、口を開いた。

「……俺は、あなたのプロデューサーです。
 あなたをトップアイドルにすることが、俺の夢です。
以下略 AAS



181: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:58:26.38 ID:9DhA16vx0
>>180 訂正

彼は小さく深呼吸してから、このみの目をじっと見つめたままで、口を開いた。

「……俺は、あなたのプロデューサーです。
以下略 AAS



182: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 21:59:43.74 ID:9DhA16vx0

夢──。
子どもだった頃は、たくさん夢があった。
テレビを見て影響されて、その度に何々になりたい、だなんて。
そうやって、いつも母に言いに行ったりしていたらしい。
以下略 AAS



183: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/05/08(金) 22:00:24.25 ID:9DhA16vx0

周りのみんなが大人になっていくように、私も大人になった。
普通の人生のなかで、ささやかな幸せを見つけて。
そうやって生きていくものだと思っていた。
だから、大人になった私は、きっとあの日まで夢を見てこなかったんだと思う。
以下略 AAS



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