エミリーが忘れた日
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114: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:58:17.24 ID:9pdDfgPfo
 
「《エミリー、泣いてても伝わらないぞ。 ほら、お友達になんて言うんだった?》」

おじさんが背中をさすってあげると、ちょっとだけ落ち着いたのか、
エミリーは顔をなみだと鼻水でぐしょぐしょにしながら何とか口を開いた。日本語だった。

「……ワタシ、ヨリチャン、ノ、コト、ワスレナイ……」
「うん」
「ヨリチャン、カッコヨクテ、ステキダカラ……ダイスキ」
「……うん」
「ワタシ……ヤマトナ、デ、シコ、ニ……ナル……ヨリチャン、ミタイニ……」
「……そう。 大和撫子になりたいの?」

また泣き始めるエミリーの頭をなでてやった。

「じゃあ日本舞踊と、日本語の勉強がんばんなさい。 伊織ちゃんの100倍くらい努力すれば、なれるかもね」

エミリーは必死にコクコクとうなずいていた。

「《……これ、あげる》」

かばんからエミリーが取り出したのは、小さな黒いつつだった。

「これ、何?」

ふたを開けてみると、中には一枚の絵が入っていた。あたしとエミリーが描かれた絵だった。

「……あんたがかいたの?」

エミリーがうなずく。


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