エミリーが忘れた日
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115: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:59:56.61 ID:9pdDfgPfo
 
あたしはしばらく考えて、パパのほうを見た。

「どうしたんだい?」
「パパ、書くものある?」

ペンを借りて、エミリーがくれた絵のはしっこにすらすら書きくわえていく。

「……?」

書き終わって、わかんないだろうけど、いちおうエミリーに見せてあげる。

「……これは、エミリーが持ってなさい」
「……?」
「これがあれば、伊織ちゃんのこと一生わすれないでしょ?
 ちゃんと勉強して、いつかそれが読めるようになったら日本にきなさい! そうすればまた会ってあげる」
「…………」
「わかった?」

おじさんが顔を何度ふいても、エミリーは何が何だかわからないくらいまた顔をぐしゃぐしゃにして、何度も何度もうなずいた。

「ワカ、ッタ……」
「約束よ。 見てて……日本ではこうするの」

エミリーに“指きりげんまん”を教えてあげると、エミリーはようやくニコッとわらってくれた。
そうそう。あんたはその顔がいちばんかわいいんだから。


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