エミリーが忘れた日
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106: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:45:25.26 ID:9pdDfgPfo
 
ようやく衣装を元に戻し、エミリーは切り出した。

『──伊織さま。 よろしければ、私と二人組の曲を歌っていただきたいのですが……』
『デュエット……って……アレ? 劇場でやったことなんてないでしょ?』
『はい。 ですが私は、伊織さまと歌いたいんです』
『……振り付けもないのに?』
『仕掛け人さまには、許可をいただいています』
『……全く……こういうときだけ準備いいんだから』

伊織がこちらを睨んできたので、ヒラヒラと手を振ってやった。

『……いいわよ。 伊織ちゃんからの復帰祝いだと思いなさい』

観念したかのように承諾してくれた。

『Yes! ……はっ! つい英語が……』
『……あんたもまだまだね。 にひひっ』

すでにCDでは出している歌なので、知ってくれているファンも多い。
予想を裏切る展開に、観客席からざわめきめいた歓声が沸いた。

『じゃあ、曲紹介してくれるかしら?』
『はい!』

エミリーがまた前を向く。


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