36:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:23:12.16 ID:VZdRWGZA0
「何のことを言って……、アスカ――」
シンジは、アスカの左目を覆っている眼帯に気付いてはっとする。
「あんたには関係ない」
アスカは、冷たい目でシンジを見下しながらそう言い放った。
「アスカ、さっき14年って……でも、眼帯以外変わってない」
37:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:25:46.47 ID:VZdRWGZA0
「知らないって……助けたんだよあの時!!」
「人ひとりに大げさね。もうそんなことに反応してる暇なんてないのよ、この世界には。そうでしょ?葛城大佐」
アスカは冷淡な態度でそう言うと、ドアの向こうへ姿を消してしまった。
「アスカっ!!」
シンジは自分の知っている記憶に必死に縋ろうとする。
38:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:29:09.97 ID:VZdRWGZA0
爆発音と呼ぶには、あまりにも鈍く、遠い音が艦内に響き渡った。内線用の通信ブザーが鳴って、先程まで部屋を包んでいた重い空気を散らす。
「なんだ!?」
シンジは我に返って、SDATを見つめていた顔を上げる。
「私です」
ミサトは受話器を取って呼び出しに答える。
39:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:29:47.66 ID:VZdRWGZA0
『全艦、第一種戦闘配置!初号機保護を最優先』
艦内に響き渡るミサトのアナウンス。アスカは長い廊下を走りながら無線でマリと通信を交わす。
「8号機!もう行けるでしょ!」
「もちのろ〜ん!今やってるよぉ姫。それより、わんこ君どうだった?おとなしくお座りしてたぁ?」
マリは、コックピットの座席に脚を組んだ姿勢で深く座りながら、宙に浮かぶデジタルスクリーンを操作して、慣れた手つきでセットアップを進めて行く。
40:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:30:52.44 ID:VZdRWGZA0
「ミサトさん!リツコさん!いったい何が来たんですか!新しい使徒ですか!?」
シンジは、ひび割れたガラスにへばりついて、外の状況を必死に知ろうとしていた。その時、何処からともなくシンジの元に声が聞こえる。
41:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:31:43.05 ID:VZdRWGZA0
──『碇君、どこ』
42:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:32:16.65 ID:VZdRWGZA0
「綾波……?今の、綾波の声ですよね!?ミサ――」
さっきまで透明だったガラスが一瞬のうちに白い壁に変わり、シンジの視界を遮った。それは、シンジにとって情報遮断以上に、ミサトたちからの拒絶を意味するものだった。
43:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:33:25.69 ID:VZdRWGZA0
「くそっ!! なんだよ、もう!!」
シンジは、壁と化したガラスに拳を叩き付けて、壁に阻まれた感情を吐き捨てる。
44:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:34:02.32 ID:VZdRWGZA0
「準備できました!碇さん!こっちへ!」
うなだれるシンジの背中に、内線で指示を得ていたサクラが声をかける。
45:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:34:51.04 ID:VZdRWGZA0
──『碇君、どこ』
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