83:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:39:52.85 ID:YWfCY9A20
やまぶきベーカリーの仕事は、パンを陳列して、レジに立ってお客さんの相手をして……と、ヤマブキパンでのものと変わりなかった。むしろ、パンはほとんど父親が焼くし、小さな弟と妹も手伝ってくれるから、あちらにいた時よりもやることは少ない。
ただ、沙綾にとって問題があるのは常連客の相手だった。
商店街のおじさんやおばさんたちは、みんな沙綾に親し気に声をかけていく。「今日も綺麗だねぇ」なんてからかわれたり、「いつも頑張ってるねぇ」なんていう労いの言葉になら笑いながら応対できるけど、「バンドは順調かい?」だとか「香澄ちゃんたちは元気かい?」なんて聞かれてしまうと、どうにもぎこちない対応になってしまう。
「沙綾〜、なんだか元気なさげだねぇ?」
今日も今日とて、常連らしいお客さんに話しかけられる。のんびりと間延びした口調が特徴的な、沙綾と同い年くらいのマイペースそうな可愛い女の子だった。
「あー、うん……ちょっと調子が悪くて」
なんて答えたものか、と少しだけ考えてから、半分本当のことを返す。
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