80:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:37:40.54 ID:YWfCY9A20
6
沙綾の頭の中は、日を追うごとにどろどろとした重たいものに侵食されていた。
メッセージのやり取りをしなくなった。それは一時的に、身体の内側で中途半端に混ざったマーブル模様の感情を意識から外してくれた。
けれど、その行動は、ついぞカスミたちに沙綾のことを隠し通したということに他ならなかった。
私は今、自分のことを気にかけてくれる人たちを騙している。そして、入れ替わってしまって、それでも私として頑張ってくれているもうひとりの山吹沙綾のことを裏切り、果てには大切な親友さえも謀っているんだ。
その事実が影になり、日に日に確かな輪郭を持って、沙綾の胸の中にふんぞり返る。
お前は今、自分を心配してくれている人たちを騙しているんだ。自分として頑張ってくれている赤の他人を裏切り、苦労を押し付けているんだ。
大切で特別な友達だと思っている人物にすら自分の本心を告げられず、戻る手立てを考えようともしていないんだ。
淀んだ黒い影が内から心を殴りつける。耳を塞いだって、目を閉じたって逃げられない。その声は、その影は、何をしていたって消えることはなかった。
明るい校舎。賑やかな教室。それと正反対な心が余計に浮き彫りにされる。
189Res/213.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20