79:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:36:01.28 ID:YWfCY9A20
もしも私が同じ立場になってそう思ったら、眩しさと温かさ、それと大きな罪悪感に板挟みになってしまうだろう。多分だけど、入れ替わった沙綾も、程度の大小はあれどそう思ってしまって苦しんでいるんだ。
これはまったくの憶測でしかないけれど、私も彼女も山吹沙綾だ。だから、きっと同じなんだ。
メッセージが途絶えたのもそのせい。寒暖差の激しい感情に板挟みにされて、身動きが出来なくなって、どうしたらいいのか分からなくなったんだ。そして、「もしも入れ替わったら」なんていうおかしな現実から目を逸らした。
そうすれば気持ちは少しだけ楽になる。……だけど、時間が過ぎるほど、影は知らない間に大きくなっていて、また彼女の心を襲うだろう。
もしかしたら見当違いの失礼なことを考えているのかもしれない。けど、私ならそうなるから、きっとあちらの沙綾も同じようなことを考えるはずだ。
私に何か出来ることはないだろうか。何かしてあげられることはないだろうか。どうしたら、どうすれば……。
先ほどとは違うことに頭を悩ませる沙綾の耳を、現代文の教師の声がすり抜けていく。
銀河鉄道が走る夜。ジョバンニとカムパネルラ。蠍の火の話。
声から逃れるように窓の外へ視線を移す。夜空には変わらず暗雲が垂れ込めていて、北極星を見つけることは出来なかった。
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