73:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:31:17.86 ID:YWfCY9A20
――心配してくれてありがとう。こっちも大丈夫。元気だよ。
机の左側を覆うメッセージのあとに、ポツンと記された言葉。ああ、確かにこれは心配になるな、と沙綾も思う。
席に座って、自分ならどうだろうか、と考える。
もしも私が香澄にこれだけ心配されたら、当然嬉しい。感謝もするし、安心もする。少なくともたった一言で返事を終わらせることはない。
だけど、もしもの話だけど、何か悩みを抱えているとしたら……それも自分ひとりで解決しなければいけないような、後ろめたい使命感に急かされるような悩みを抱えていたとしたら、どうだろう。
「……絶対、こういう返事をするよね」
自分の悩みなんていうつまらないものは、人に知られないように、誰にも心配や迷惑をかけないように、ひとりでどうにかしようとする。
山吹沙綾のそういうところは、沙綾自身が一番よく分かっていた。何でもかんでもひとりで背負いこんで香澄に本気で怒られた文化祭の日とか、ポピパがバラバラになりかけて、何が正しいのか分からなくて自分の気持ちは引っ込めた日のこととか、その他にも日常の小さなことを考えれば枚挙に暇がない。
もしかしなくても、きっともうひとりの沙綾は何か悩みを抱えているのだろう。それは分かるけど、悩みの正体は分からなかった。
(何か少しでも、悩みが分かるような言葉をくれればいいんだけど……)
自分のことは棚に上げて、そう思いながら、沙綾はもうひとりの自分宛てのメッセージを考えた。
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