170:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:45:57.91 ID:YWfCY9A20
「おはよ、サーヤ!」
「おはよー。やっぱり月にはうさぎがいるよね」
と、かたや元気一杯に、かたや昨日星を見ていた時の話の続きと言わんばかりに挨拶を投げられて、沙綾はまた懐かしい気持ちになった。
「おはよう。香澄、おたえ」
そう沙綾が返すと、ふたりは少しきょとんとして、
「あ、サアヤじゃなくて……沙綾? おかえりなさい」
なんてたえが何でもないように言って、
「さーやぁぁ――っ!!」
と香澄が飛びついてきて、それを笑いながら受け止めたこと。
周りのクラスメイトたちは、いつも以上にテンションの高いPoppin'Partyに首を傾げていた。
けれど、そんな視線も沙綾たちはまったく気にしなかった。
「おかえり!! 無事でよかった、よかったよぉ――!!」
「大丈夫? 風邪とかひいてない?」
「うん、大丈夫。……ありがとね、香澄、おたえ」
そんな言葉を交わし合ってから、香澄が隣のクラスの有咲まで引っ張ってきて、みんなできゃいきゃいはしゃいだこと。始業のチャイムが鳴って、「続きはお昼休みに!」なんて言ってそれぞれがそれぞれの席に戻ったこと。
どれも、世界からすればなんてことない日常の一幕。だけど、私にとってそれは何よりも大切で特別な光景だ。以前よりもずっと強く、そう思える。
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