169:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:45:01.04 ID:YWfCY9A20
入れ替わっている間にもずっと学校には行っていた。だというのに、沙綾は夏休み明けのような気持ちで教室の敷居をまたいで、自分の席に座っていた。
窓からの陽射しが明るい、空席がある方が珍しい教室。その中に自分もいることがまだ夢を見ているみたいで、全然実感が湧かない。
朝のHR前の慌ただしい時間も過ぎて、今は一時間目の授業が始まるところ。ぼんやりと時計を眺めながら、沙綾は脳裏の朝のひと時を思い起こす。
まず、りみと共に学校に向かう途中、有咲ともばったり出会ったこと。
「沙綾……? 本当に沙綾なんだな?」
「うん。なんていうか、ごめんね? お騒がせしました」
「いや、そりゃ、お前のせいじゃねーんだから……んな謝んなよ……」
と言いながら、有咲はそっぽを向いた。その耳がちょっと赤くなってて、声も途切れ途切れで震えていたし、やっぱり有咲も有咲で私のことを心配していてくれてたんだ。
「そうだよ、沙綾ちゃん」
りみも有咲の言葉に頷いて、こちらはパッと笑顔を浮かべていた。
そのふたりの様子を見て、沙綾はやっぱりとても嬉しくなった。
「ん……ありがとね。有咲、りみりん」
それから三人並んで、花咲川女子学園の教室まで向かったこと。別のクラスの有咲が別れ際にやたら名残惜しそうにしていて、それにもお礼を言ったこと。そして自分の教室に入って、席に座ってりみと話しているうちに、香澄とたえが一緒に登校してきたこと。
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