168:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:44:25.57 ID:YWfCY9A20
「おはよう」
「……うん。おはよう、りみりん」
いつもの控えめな笑顔で挨拶をされて、沙綾はまたちょっと照れくさい気持ちになった。少しだけ間を置いて、りみへ挨拶を返す。
あ、そういえばりみりんって口にしたの、すごい久しぶりな気がするな……なんて思っていると、目の前のりみが少し呆けたような顔をしていた。
「どうしたの?」
「え、あの……サアヤちゃん……? じゃなくて……沙綾、ちゃん?」
「えっと……私も、もうひとりの私も……沙綾だよ」
我ながらおかしな言葉選びだったな、とぼんやり思う。
「…………」
「その、なんていうか……久しぶりだね、りみりん」
「……ぐすっ」
やっぱり変な返しだったかなぁ、と続けて考えていたら、どうしてかりみが泣きそうな顔になったから、沙綾は焦ってしまう。
「ちょ、ど、どうしたの、りみりん?」
「あ、ご、ごめんね……。香澄ちゃんからは無事だって聞いてたけど、でもやっぱりずっと心配で……沙綾ちゃんが無事で、安心しちゃって……」
「そっか……心配してくれてありがとう、りみりん」
「うん……」
自分の無事をずっと祈ってくれていたこと、そして無事に戻れたと知って涙を流してくれること。それに心がほわっと温まる。下手すると沙綾も泣いてしまいそうな気がしたから、気丈に笑って見せる。それを見て、りみも目の端に涙をためたまま笑った。
「一緒に学校、行こっか」
「うんっ」
そうして、沙綾とりみは肩を並べて、花咲川女子学園を目指した。
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