【バンドリ】さあやとサアヤの話
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171:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:47:08.52 ID:YWfCY9A20

 もうひとりの自分と入れ替わったことはもちろん大変だったし、挫けそうになったこともあった。

 だけどそれらが、この手の中に偶然の振りして居座る宝物の大切さを改めて教えてくれた。気付かせてくれた。

 それに……私の特別で大切な親友たちによく似た、優しくて素敵な友達が五人も増えたんだ。この入れ替わりも、過ぎてみれば私にとって大切な思い出のひとつだ。

 もしかしたら――いや、もしかしなくても、もうカスミちゃんたちには会うことが出来ないのだろう。だけど、そうだとしても……彼女たちにもらった優しさや勇気は、紛れもなく本物だ。偽物じゃない荷物だ。

 そう思ったところで、教室の扉が開いて、一時間目の数学の教師が入ってきた。教壇に立つその姿に向かって、日直の号令が響く。そして今日も花咲川女子学園の一日が始まった。

 数学教師の声を聞きながら、沙綾は『今日は随分と抑揚のある声で喋るな』と思って、それがなんだかおかしくって少し笑った。

 指定された教科書のページを開いて、次いでノートを開く。

 ぱらぱらとページをめくってみると、九月の終わりから、授業内容は随分と進んでいるようだった。

(これは遅れた分を取り返すのが大変だなぁ……。有咲とりみりんに今度教えてもらおう)

 その勉強会には香澄とおたえも一緒に参加してもらおうかな。そう考えていると、ノートのあるページに折りたたまれた紙が挟まっていた。不思議に思って、それを手にして開いてみる。

 その紙面には、可愛さの中に芯の強さを感じる文字があった。




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