123:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:09:09.70 ID:YWfCY9A20
沙綾は嗚咽を噛み殺して、滲む視界に歌の続きを映す。そこには香澄からのメッセージが一言あった。
――沙綾ちゃんが元気になってくれますように。
それが胸の奥深くまで沁み入る。ああ、と沙綾は震える声を吐き出した。
香澄ちゃんはとっても優しい女の子だ。こうやって私のことをずっと気にかけてくれている。
だけど、彼女は私を待たない。歌うべき歌がそこにあるなら、例えひとりっきりになったって歌う。そういう女の子だ。そして歌が終われば、また全力で仲間のことを想ってくれる。だからこそ、私は七夕の日に夢を撃ち抜かれたんだ。
まだ記憶に新しい文化祭のことが頭によぎる。体育館のステージで、みんなで微睡んでいた時のこと。ひとつだけ、心に決めたこと。
“指をつなぎ始まったすべてを、私はもう二度と離さない。離したくない!”
そうだ。そうだった。そう決めたのに、ああもう、本当に私はサイテーだ。そんなことも忘れて、香澄ちゃんたちに心配かけて、カスミちゃんたちにも迷惑をかけて……。
だけど、今ここでそのことを思い出せた。大切なことに気付けた。自分自身の弱さに向き合う勇気をもらえた。それならまだ遅くはないのかもしれない。まだ、ステージの幕は上がっていないかもしれない。
私はみんなに全力で謝って、感謝して、このおかしな現実に向き合わないと、駄目だ。
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