95:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:06:07.08 ID:SYS+AFC90
営業時間という概念が無いのか、公園の入口には柵もロープも架かっていない。
ポケットに手を突っ込み、無造作に置かれたペンキ缶に、ありったけのコインを入れる。
まるで神社だかお寺だか――どっちか分かんないけど、そういう超常的で不明瞭なものに祈ってすがるなんて、極めて非合理的だ。
だけど、きっとそういう感覚に近いものだった。
遊歩道に入り込むと、いよいよ足元が見えなくなるくらい真っ暗だ。
スマホのライトを照らして、樹海を探検するように木々に囲われた道を慎重に歩く。
以前来た時よりもずっと時間をかけて開けた視界には、月明かりに照らされてかろうじて輪郭を帯びた丘が右手に映った。
――人影は、無い。
いや――ちょうどあのデカいキンモクセイの裏側にいて、ここから見えないだけかも知れない。
丘に向かって真っ直ぐに歩く。
所々、思ったより勾配がキツい所がいくつかあって、勇み足を踏み出す度につまづいた。
138Res/139.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20