94:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:02:28.53 ID:SYS+AFC90
街灯が心許ない、真っ暗闇の道路をあの公園に向かって歩く。
身震いがしたので、コートのチャックを目一杯上げた。
春が近づいてきたとはいえ、陽が落ちれば吐く息が白くなるほどに寒くなる。
キンモクセイを下げた袋を代わりばんこに持ち替え、こまめに手を温める。
手袋、してくれば良かったな――。
夕美ちゃんは、こんな寒い夜の公園に、本当に一人でいるのかな――。
いつからあたしはこんなに臆病になってしまったんだろう。
どうして、要らない不安を掻き集めてしまうんだろう。
この世界には二つしか無いんだ。
予測できるものと、できないもの。
夕美ちゃんがいるか、いないか――それだけだ。
どっちかの事実しかないんだ。
仮説したとおりの事象が発現されれば嬉しいし、想定外の事態が起きれば、それはそれで――。
――――。
公園が見えてきた。自然と歩みが早くなる。
もうすぐ、夕美ちゃんに会える――!
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