62:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:51:42.40 ID:D/gZfYJM0
「あのね、どこの記者さんか知らないけど、あの記事は全くの事実無根なんだよ。
すぐにでも名誉毀損で訴えたいくらいだ」
怒りを隠そうとせずそう捲し立てて、俳優さん達は足早にあたしのもとを去ろうとする。
あたしの方からは、自分が記者だなんて一言も言ってないのにね。ふふっ。
「でもあの写真に映っていたのはあなたですよね?
あの写真も、捏造だっていうんですか?」
そう言った瞬間、彼の肩がピクッとうずいたのがハッキリと見えた。
「実は先ほど、あなたの事務所と協力関係にあるという方から、興味深いお話を聞いたんです」
ゆっくりと振り返った彼の顔には、怒りと混乱の色がアリアリと表れている。
真実を明らかにするには、それに一番近いであろう当事者に話を聞くのが一番だ。
そう判断したあたしは、前もって一つの予測を立てていた。
ずばり、彼が何者かにハメられた、という可能性だ。
彼のスキャンダルは、主役映画の公開を目前に控えた中で発現したものだった。
あまりにタイミングが悪すぎる。
このスキャンダルで得をする誰かがいる、とあたしは踏んだ。
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