一ノ瀬志希「ほころび」
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132:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 03:08:59.30 ID:SYS+AFC90
 ――!?

「え、黄色?」

「まさに謙虚と言いますか、しかし、確かな存在感を放っている……
 ピンクという色も、この時期に咲くこと自体も珍しいが、この互いを称え合うような色合いのバランスが実に美しい」


 お爺ちゃんを押しのけ、もう一度そのキンモクセイを食い入るように観察した。


 本当だ――たくさん咲いた花弁の一つ一つ、よく見るとそれぞれに黄色の欠片が――。

 まるで、そこだけほころんだかのように――。

「どうやったらこんな色合いになるのか、はぁ、良いものを見れました。ホッホッホ」


 白か黒、二つに一つしかないと思っていた。
 ピンクになるか、ならないか――でも。

 本当は、白と黒の間には数えきれないほどの色があって――。


 ――夕美ちゃん。
 今、一つだけ信じてみたいことができたんだけど、いいかな。

「夕美ちゃんは」
「ん?」

 あたしは、結論を急ぎすぎたのかも知れない。

「……夕美ちゃんは、またここに来ますか?」



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