一ノ瀬志希「ほころび」
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130:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 03:04:03.55 ID:SYS+AFC90
「……え」


 どっこいしょ、っとお爺ちゃんは芝生の上に腰を下ろした。

「夕美ちゃんは、この公園の木々や花々を……中でもそのキンモクセイを、丁寧に手入れをしに来てくれていてね。
 先日来た時、彼女からあなたの話を聞いていたんですわ」

「夕美ちゃんが、あたしのことを?」

 その場に立ち尽くして動けないあたしの方へ顔を向け、お爺ちゃんは優しく笑いかける。


「とても素敵な、アイドルのお友達ができたんだと。それは嬉しそうにね」


「……そんなの、ウソだよ」

 友達なら、本当に苦しい時にそばにいてあげられる。
 救ってあげられるはずなんだ。

 一方向からの視点でしか――都合のいい部分しか彼女には、見せることができなかった。
 夕美ちゃんは、ずっとあたしの事を誤解したまま――。

「笑顔が綺麗に咲いている人に憧れる、と」
「えっ?」



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